中国人が飲む緑茶と日本人が飲む緑茶の違い
中国で最も飲まれているお茶は実は緑茶
「中国茶五感の世界」という本の著者である孔令敬さんが、この本の冒頭で、初めて日本を訪れたときに口にした日本の緑茶の印象を、「苦くて、渋くて、少し青臭い感じがする。まるで青汁のよう」と書いています。
苦そうにしている様子を見て、薦められたお茶うけのタクアンを食べると、不思議なことにさっきまでの苦味や渋味が消えて、ちょうど良い味わいになったそうです。「これは美味しい」とタクアンを囓りながらお茶をおかわりしたりしたとのこと。
これは、中国と日本のお茶事情のちがいがよくわかるエピソードです。孔令敬さんが普段飲んでいた中国の緑茶とはかなり味が異なっていたことがわかります。中国の方は、みんな烏龍茶を飲んでいる、と日本の方は思いがちな傾向がありますが、実は消費の8割近くが緑茶です。
ところが、その緑茶が、日本人が飲んでいる緑茶とはだいぶ異なります。
まず前提として、緑茶が紅茶や烏龍茶とちがうのは、空気中の酸素と反応する酸化ががおこらないように、緑茶葉内の酸化酵素の働きを熱を加えて止めます。その熱の加え方が日本では蒸すことで、中国では中華鍋のようなもので炒めて行います。中国のこの炒める作業を「釜炒り」といいます。
釜炒りにする中国の緑茶は、香りよくさっぱりした味わい。それに対してしっかりと蒸し時間をかける「深蒸し」が普及している日本の緑茶は、とっても濃い味になります。
中国の緑茶と日本の緑茶の違いをまとめると、下記3つが大きく違います。
-
製法の違い: 日本の緑茶は茶葉に蒸気をかけて製造されるのに対し、中国の緑茶は主に釜で炒る手法を用います。この違いが、それぞれの茶の味わいや香りに影響を与えています。
-
重視する要素の違い: 日本の緑茶は味を重視し、中国の緑茶は香りを強調する傾向があります。日本の製法は茶葉に対して蒸気を通すことで、茶葉の旨味を引き出す一方、中国の製法は炒ることで香りを強調します。
-
茶葉への熱の加え方: 日本の緑茶は主に蒸気で蒸して熱を与えるのに対し、中国の緑茶は釜で炒って熱を加える手法が一般的です。
このような違いは、日本に住む中国出身の方たちには一般的なのでしょうが、意外にもあまり日本人には伝わっていないようです。お茶の好みはそれぞれあるでしょうが、日本国内産のものでさっぱりした緑茶を飲んでみたい方には、お手頃価格の「静岡茶 高木園」をおすすめします。日本茶ですのでコクがありますが、後味がさっぱりしていてとても飲みやすく、ご家庭での食事をさらに美味しくしてくれます。麻婆豆腐や、コチジャンや豆板醬を使った炒め物など、中華料理を作る際にぴったりの緑茶です。