中国茶の種類について
中国茶の種類と歴史的背景の関係
私たち日本人にとって、中国茶=ウーロン茶(半発酵茶)というイメージがありますが、中国でいちばん作られているのも飲まれているのも実は緑茶です。そして歴史も緑茶からはじまっています。
鍋で緑茶の茶葉を煮立てて飲む煎茶、保存用に茶葉を固めた団茶をくだいてお湯で溶いてかき混ぜた抹茶、その後、茶葉を急須に入れてお湯を入れて飲む淹茶(えんちゃ)という、現在われわれも行っている飲み方が生まれたのが宋から明の時代です。
そして明の時代が中国茶大転換の時代と言われるのは、この時期にプーアル茶、ウーロン茶(鉄観音や黄金桂など)、そして紅茶といった発酵茶の原型が生まれたから。おもしろいのは、ウーロン茶やプーアル茶の作り方にたどり着くきっかけとなったのは何かというと、ジャスミン茶に代表される着香茶の作り方でした。
茶葉は周りの香りを吸い込むという特性があります。
お茶教室の時などに、よく「お茶の保存は、冷蔵庫がよいのでしょうか?」と聞かれます。封を開けていないのならそれでよいし、冷蔵しなくても、涼しい場所なら構いません。ただし、封をあけてしまったら、茶筒などに移し換えて、なるべく早く召し上がって下さい、と答えています。
しかし、封を開けたお茶を冷蔵庫に入れないでくださいとも話します。これがタブーなのは、お茶が匂いを吸ってしまうからです。冷蔵庫の中の食材の匂いをお茶が吸収してくれるから、庫内の匂いはなくなるけれど、それを吸い込んだお茶は、おいしくなくなってしまう。
この性質を利用して着香茶は作られています。ジャスミンの花を敷き詰めた上に緑茶を載せて、花の香りを移す。これを何回もやってジャスミン茶ができあがるのですが、この作業の間におもしろいことがおこっていた。香りだけでなく、花の水分もお茶の葉に移り、そしてほんのりと発酵していたのです。
このことから、水分を加えることによって発酵し、微妙な香りや味の変化をもたらす。そう気づいたことから、やがて後発酵のプーアル茶、それからしばらくして前発酵のウーロン茶が作られるようになり、ウーロン茶の作り方を徹底し茶葉をしっかり発酵させたのが紅茶です。
このような歴史的な背景があって、それぞれの中国茶が生まれ、現代まで続いています。中国茶の種類はそれこそ数百を超えるほどありますが、中国の科学研究力はかなり強いようですので、また新たな中国茶が将来出てくるかもしれませんね。
現代人が今飲める中国茶はこちらからご覧ください。